今日は銀行の運転資金の融資審査のポイントに
ついて書いてみます。
運転資金とは商品を仕入れたり作ったりして
その商品を売って代金を回収する迄の
立て替え資金
という考え方です。
運転資金を貸借対照表の図で説明すると
以下のようになります。
現在では手形取引は極めて少なくなりましたが
売上の手形回収、支払いの手形支払い
というのも考慮しております。
このケースですと白の部分この250が
運転資金となります。
ではこの運転資金の融資について銀行は
どのような視点で見ているかを上記事例を
使って説明してみます。
上記の会社がある一定期間で
50%増の売上増を達成して
以下のような実績の
貸借対照表になったします。
●実績貸借対照表
売上増!これからドンドン運転資金融資できる!
これは銀行にとってビジネスチャンス!!
確かに基本的には銀行にとって融資の
ビジネスチャンスです。
実績の貸借対照表から見ると運転資金の
ニーズは445となります。
しかし銀行の審査はそう甘くありません。
銀行の融資審査ではこう見ます。
この会社の売上が50%増
もし仮にこの会社の
●商売の内容
●商品代金の回収条件
●仕入れの支払い条件
これらが不変であるなら
理論上の貸借対照表は
以下のようになるはずと予測します。
●理論上の貸借対照表
回収支払いともに決済条件が不変であれば
売上が50%増ならぞれぞれの勘定科目は
1.5倍となるはず。
そして
実績の貸借対照表と理論上の貸借対照表
を比較して見ます。
青で示した買掛等の部分
これは実績数字と理論数字が同じなので支払い条件は
恐らく変わっていないと予想されます。
オレンジの売掛部分は
理論上の売掛等450に対して実績の売掛等480
実績が30程多いです。
原因は回収条件が悪くなった?
もしや未収や引っ掛かり?
返品クレーム?
こんな予想ができます。
ピンクの商品部分
理論上が商品等300で実績の商品等340
これも実績が40多いです。
同様に原因は
不良在庫?
売れ残り?
季節要因?
こんな予想ができます。
今まで通りのお金の流れであると仮定すれば
50%の売上増によるこの会社の運転資金は
375
これで十分なはず。
しかし実績では
445その差は70です。
どうしてこのような差があるのか?
このような数字から見て取れる予想に対して
その会社の社長がどう説明するか?
ここが銀行の融資審査の重要なポイントになります。
融資審査の可否は上記事例のような
理論上の予測と実績の数字その違いに対する
銀行側の疑問??について社長自身の言葉で
それを明らかにできるか?
そしてその根拠に理があるか?
等を説明できるか否か。これに尽きます。
補足:なぜ??を説明できる社長資金調達に強い。
資金繰り道場 別館より
売上が単純に伸びているからといって
銀行は融資に積極的とは限りません。
本日の事例は銀行の融資審査のほんの一部分です。
会社の実績数字に対して社長が何も解かっていない。
解かっていないならまだましな部類で解かろうともしない。
こんな社長の会社を銀行が信用して融資するはずがありません。
上記事例は売上増の事例ですから現実的には細かく銀行が
探りを入れてくるケースは少ないです。
問題はその逆で業績低迷の時
そんなとき銀行融資審査に重要な材料が
社長ご自身の会社の数字に対する
理解と意識であります。
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資金繰り道場 別館