銀行は借入以外の負債をよくチェックしている。
の追加の内容です。
今回は銀行は貸借対照表の資産部分を
よく見ていますが、
反対側の負債部分も
よく見ているという内容です。
負債部分でも資産の部分と同じように
「前と仮」
のつく勘定科目はよく見ております。
特に
・エステサロン
・スポーツジム
・学習教室運営
等の業種については必ず見るポイントです。
上記の業務の特徴はサービスの代金を
回数券や利用チケット等の形で
先に受け取る事ができるという事です。
例えば●●●エステコース
10回分 代金100,000円このような形で
お金を頂くケース
お客さんがこのコースを申し込むと
会社には現金100,000円が入金されます。
しかしその100,000円が入金された時点で
すぐに売上計上はされません。
実際に売上が計上されるのはチケットを使って
エステの施術を実際に受けた時です。
1回施術を受けた時点で1回分の売り上げとして
10,000円分が初めて売上計上となります。
では最初の100,000円入金時点では
どのような経理処理がされるか?
ここで登場するのが
前受金
という負債に分類される勘定科目です。
売上のようでありながら売上にはならない。
売上のようでありながら負債に分類されます。
実際の貸借対照表ではこんな感じで表示されます。
↓↓↓
*注)コチラの例では前受金51,000です
エステ
スポーツジム
教室運営
この手の業種で一番あり難いお客さんは
都度単発のお客さんより長期のコースを
申し込みをしてくれる方です。
長期のコースでは前払いで現金がもらえる!!
非常にあり難いお客さんです。
しかしどんな商売でもリスクはあるもので
この手の商売の怖いところは途中の返金リスク!!
昨今は消費者保護の観点から返金応じない約束でも
よほどの事がない限り事業主はお客の未利用部分は
返金しないといけません。
銀行はココにバランスを注目している。
こんなリスクを銀行が見逃すはずがありません。
そこで銀行は貸借対照表のここを見ています。
↓↓↓
前受金の残高
と
現預金の残高
この二つの残高が現預金>前受金の傾向なら
比較的健全だとみます。
なぜならこの種の業種では前受金とはお客さんが
まだ未利用のサービス役務の残高といえるわけですから
仮にそれが全額キャンセルされて返金請求をされたとしても
十分に対応可能な状態にあるといえるからです。
反対に現預金<前受金の傾向であれば
要注意とみます。
そのようになる要因は
- 急に店舗を増やしている
- 過剰な宣伝広告費
- 過剰な設備投資
- 固定費が増加傾向
- 経営者の浪費や散財
- 不祥事や事故による解約増
このような理由が考えられます。
お金が増えると勘違いが始まる。
前払いでお金入金された売上全額回収したと
勘違いしてはいけません。また前払いで現金が
増えたと思って即使ってしまうのも要注意です。
経営判断はその場の直観だけではなくて
具体的な数字も見ていないといけません。
余談ですが
その昔TVコマーシャルで有名な英会話教室が
破綻して申し込んだ残りの受講チケットの返金が
できないと問題になったのは運営会社がまさに
前受金を別の資金繰り(過大なTV宣伝等)に
当てたのが原因です。
コチラのブログも是非どうぞ!
資金繰り道場 別館