知り合いの会社が取り込み詐欺に遭った事があるみたいで本当に大変そうでした。
この手の詐欺に遭わないようにするポイントありますか?
実際に事例に基づいて取り込み詐欺被害を防ぐポイントについて解説してみますね。
■■取り込み詐欺の常套手段
まずは取り込み詐欺の常套手段についてです。
取り込み詐欺はいきなりは詐欺を仕掛けてきません。
まずは巧みにターゲットに近づきます。
交流会を通じた他人からの紹介やテレアポやFAXDM等を
使って商談を持ち掛けてきます。
被害の実例 ■■業種:建材の卸
人の紹介で新規の営業先として営業担当者が
取り込み詐欺会社の社長と面談をする。
面談場所はファミリーレストラン。
トントン拍子で話が進みある現場へ
50万円の資材納入が決まる。
資材納入後1週間程度で代金の入金がある。
入金後一度詐欺会社社長と営業担当は食事を兼ねて
再度商談を行う。面談場所は前回同様ファミレス。
その場で次に大きな現場があるので手伝って欲しいと
持ち掛けられる。資材の総額15百万相当。
営業担当は前回の取引で気を良くしていた事。
昨今の営業成績が芳しくない事から先方の申し出を快諾
翌日即の見積もりの提示をしたところ、先方は即OKの返答
この時点で営業担当は現場の確認等はまだしていない。
1週間後先方より現場の工期が早まったので即資材の納品をして
欲しいと催促が入る。営業担当は営業成績が早期に計上される事もあり
先方の催促に対応する旨約束する。
この時点においても営業担当は現場確認をしていなかった。
資材納入当日にその社長より資材の搬入場所の変更依頼が電話で入る。
搬入業者にその旨指示するも、その運転手より指定の現場とは随分と
違う場所に搬入する事になるが大丈夫なのか?と念押しの確認がある。
この時点で搬入業者は怪しいのではと感じていた。
営業担当に確認したところ指示通りに搬入して欲しいと。
この時点においても現場の確認は未済。
当然変更依頼のあった現場確認及び立ち合いもしていない。
後に判明するが現場を確認する事なく納品する事は良くある事で
本件については相手を完全に信用してたとのこと。
納品完了後代金の入金期日が到来するも入金なし。
入金未済が営業担当に伝えられたのは代金入金期日後
1週間後になっての事。
入金の催促する為営業担当からその社長に携帯に連絡するも
連絡つかず。何度電話しても連絡がつかないのでいよいよおかしいと
思いその会社に直接伺うもそこにはその会社の看板は見当たらず。
この段階でようやく詐欺に遭った事に気付く。
その後即会社の謄本を上げる
信用調査会社の会社データを取る等して
社長の所在を追うも時すでに遅く、
その社長の行方は不明。
会社謄本によれば会社設立して半年に満たない会社
資本金は10万円
謄本記載の代表者住所は離婚した前妻の実家住所
被害のポイント
- 取引前に会社の謄本等での確認、さらには現地での実態確認を怠っている事
謄本により会社の信用度に懸念がある事は予見可能だった。 - 謄本を取らなくても一度でも会社へ訪問、面談して相手の事業実態を確認していれば
被害は防げた可能性が高い。更に言えば代表の自宅や家族構成等も確認でできると良い
詐欺を働く人間は身辺を明らかかされる事を極端に嫌う。 - 取引現場の確認を怠っている。2度目の資材納場所の変更の際に
搬送業者から「大丈夫か?」の連絡が入りその際現地に赴いて
確認していれば被害は防げていた可能性は大 - 入金期日の入金未済の連絡が物凄く遅い
債権回収は時間との勝負。遅くなればなるほど回収は困難になる。
債権回収にいおてはまず午前に期日入金の着金確認を行い、
未入金であれば即先方にコンタクトを取るのがポイント
この時点で複数回連絡を入れても相手とコンタクトが取れない時は即対応を考える。
代表者と連絡が突如連絡が取れなくなるのは与信管理上最も懸念がある状態。
事件の顛末について
・刑事事件として被害届を出そうとするも相当に苦労する。(最終的には受理されたが)
民事の問題ではなく本当に詐欺被害なのか?からスタートして被害金額の確定など
刑事事件として受理される要件を証明する証拠集めが大変。
更に都会の警察署は事件数が多く非常に多忙。
簡単に事件として受理はしてくれないと心得るべき。
・仮に事件が受理されたとしても肝心の代金回収はホボ無理。
本件の場合だと取り込んだ資材は即転売されて現金になって
その現金も使って無くなっている始末。法的には言い分が通っても
現実的な回収は限りなくゼロ。最終的な穴埋めは弁護士費用等
を含め銀行融資で補填という結末。
本件の場合幸いにして資金調達により資金的補填ができたが
下手をしたら会社の資金繰りがショートになりかねない大死活問題
営業による売り上げUPはとても大事だがそれと同じ位に
会社与信と債権回収管理は重要だという事
を改めて認識させられる事件でした。
会社経営では攻めも守りも重要だという事が良くわかりました。まずは地味で面倒でも現場を自分の目で確認する事が大事ですね!
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