売上歩合制の賃料とは?
大型商業施設や百貨店等の一区画を借りるときに良くある
売上歩合制の賃料。計算の方法は概ね
最低保証賃料または基本賃料+売上×歩合
〇〇〇万~■■■万迄は▲%、■■■万以上は★%といった具体に
売上高に応じて歩合が変わる場合もあります。
賃料の払い方は一般的な振込による支払いではなくて
まず店舗に施設内専用レジを設置。
このレジでお店の売上をバッチリ管理します。
そして毎日その売上金を施設の事務所に全額納めて締日に
賃料部分を差し引いてテナントに返金するパターンが多いようです。
家賃を変動費として捉える
財務的な点で見ると一般的に賃料は固定費と捉えます。
損益分岐点の売り上げを超えるとその分は自分の利益として跳ね返ります。
*損益分岐点売上とは
引用元 資金繰り道場 別館 2018年8月23日
しかしながら、歩合賃料の場合は基本賃料部分以外は
完全に変動費となります。
固定賃料部分の負担は少なくなりますが売上の利幅は
低くなってしまいます。
上記のグラフのように売上歩合賃料では売上が増えれば増える程
歩合の賃料の支払いも増えるという事態になります。
売上歩合制賃料の問題点
売上歩合制の賃料の問題は急激に商売の原価構造が
大きく変化したときです。
特に飲食や居酒屋等は為替の変動や原材料費の変動により
原価構造が相当に変化します。
相場変動のある為替、粉ものに代表される小麦、輸入モノの食材
原油等の変動の影響は非常に大きいものがあります。
最近では異常気象による農産物の価格高騰等も変化要因です。
今年の秋はサンマが記録的な不漁等は記憶に新しいところです。
サンマの仕入値が激高なので従来の値段でとてもお客さんには
提供できませんね('◇')ゞ
現実問題として原価構造の著しく変化したことで
数年前の変動費賃料歩合では利益を生み出すことが
出来なくなり歩合部分を見直して歩合制から固定へシフト
する動きはたくさんあります。
また大型商業施設であれば集客はその施設のそのものの
人気による部分が集客に影響を及ぼすケースは多々あります。
近隣商圏に競合する施設の進出して集客が激減することも
珍しくありません。
賃料コストの見直しには理屈が必要
賃料コストを見直すとは単純に
窮状を訴えるだけではダメです。
契約当初の状況(または前回の更新時)と現在の状況が
- 客観的どう経営環境が変わったのか?
- 契約書の賃料改定条項の法律的な解釈はどうなのか?
- 今後の自己努力はどうするのか?
- 今までの物件の使い方に問題はないのか?
- 貸主から契約外の経済上の便宜や利益を得ていないか?
- 貸主の状況はどうなのか?
- 交渉のタイミングは適切なのか?
- 入居に至る経緯はどうなのか?
等々を踏まえてお話をしないといけません。
売上歩合制の賃料を採用している大型施設は概して
大手デベロッパーである事が多いです。
そんなデベロッパーの中には施設の集客力維持の為
売上低迷のテナントは退去してもらう方針を明示して
いるところもお見受けします。
安易な賃料減額交渉をも持ちかけると
藪蛇になる場合もありますのでご注意を!
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